上海視察報告
遅ればせながら、5月17日~20日に上海に視察ツアーの報告をいたします。
かなり、自分自身の私見が入りこんでいますが、ご興味のある方は是非読んでください。
1日目
松永製作所の上海工場を見学させていただいた。
金山区という上海郊外の工業団地にあり、2001年に1棟の工場から始め、徐々に拡張し、現在では280名の従業員数で月産約4千台の車いすを生産しています。
清算した車いすやシャワーチェアーなどは、95%が日本へ輸出され、5%が中国国内に流通されているそうです。中国国内市場では、どうしても高級品の車いすになってしまい、価格競争では中国国内メーカーとは劣勢に立たされている。
品質面では、半年~1年使用して頂ければ、軽量で壊れにくいため商品価値を感じる事ができるそうです。消費者にどうアピールしていくかが課題と思いました。
確かに車いすというものは、オートメーションで製作することはできず、一つ一つの工程すべてが手作業によって出来上がっています。チャイナエイドで見た中国メーカーの車いす等の介護用品は粗悪なものが多く、松永製作所の商品とは比べ物になりません。それでも松永製品は、上海市場を意識した価格帯にしており、一般的な車いすで約1600元(2万2千円)と大変に安いのに驚きました。
2日目
上海民政局に訪問しました。民政局は日本でいう厚労省の厚生局のような機能を持っているところです。そこで上海の介護福祉の現状に関してレクチャーしていただきました。現在の上海での介護を必要とされる高齢者は約20万人に及んでおり、日本での介護保険施行前の措置制度のような制度があります。施設サービス・在宅サービスはあるものの90%以上はそのサービスすら受ける事が出来ないでいる状況にあります。「一人っ子制度」により強烈な少子・高齢化社会へ突入をすることになり、民間資本と活力を呼び掛け、早急に制度を確立させようとの思いがあるようでした。しかしながら日本の様な精度の高い介護保険制度のようになる見込みはないとのことでした。市政府が年間一万床の増設を計画実行しているものの、急速な高齢化には追いつかないのと不動産バブルの影響により財政を圧迫してしまっているのが現状であった。また介護職員の養成や教育も追いつかない状況下にあり、市政府の悩みも大きいところである。社区と呼ばれる地域単位で高齢者を支え、在宅介護に主軸を移さなくてはならないとことでした。何らかの民間活力も生かさなくてはならないところですが、ヘルパー利用料は一時間当たり11元(日本円約160円)という単価であるため、日本の民間企業が高齢者マーケットへの参入を見たときに、顧客に求められているものを創出するだけでなく、「人民元の切り上げ」などの要因も絡まなければマーケットへ参入はできないと感じました。
午後からは本来の目的である「チャイナエイド2010」(上海での中国最大規模の福祉機器展)へ参加した。正直感じたのは、ここでも貧富の2極化ということでであった。日本製品を始め、介護機器の先進国の製品はとても高額になるため、上海での高所得者層をターゲットにしている製品があり、その一方では格安で低所得者層に向けの製品に分かれてしまっていた。安価のものは手動のギャッジベッドなどが今でも主流としてあり、簡易な製品ばかりが目立った。ことポータブルトイレやおいては、事務用パイプ椅子に穴があいてあるだけのもので、業者は「これで十分!」と言いきっていた。
関西のシルバー振興会の企業が出展しており、日本の介護用品がこの展示会をリードしていたようにも思えました。
夕方には、『超高級のケア付き高齢者マンション』を見学しました。上海中心部から約車で1時間半ぐらいのところの広い敷地に12棟834室のマンションとスポーツクラブ・そして病院があり、日本のデベロッパーが建てたマンション群の様である。
この高齢者会員制のタイプと不動産として分譲マンション購入するタイプ2つの方式をとっている。会員制の場合入居金の69万元(約970万円)と部屋の大きさごとに異なるが、2万元(28万円)から6万元(84万円)の年会費で入居ができる。既に300室が埋まっているとの事だった。一方のマンション購入タイプにおいては、相続ができるタイプとできないタイプがあるが、1600万円から3360万円までの価格で分譲され、年間30万円の共益費のみで、食事やケアを受ける事ができる。考えようによっては、不動産バブルにより3000万円以上するマンションは当たり前のようにあり、この価格で一生涯サービスが受けられるのであれば決して高額ではないと感じた。とはいっても、平均月収約5万円の上海において、このようなスタイルのビジネスモデルを創った事は、大変に勇気ある経営判断であったと思います。実際に利用している高齢者の方達は、中国共産党幹部だった方々をはじめ、金融や不動産投資で富を得た方々が多いようだった。入居者の一人にお話を聞いてみると、「毎日の食事は飽きてしまい、今では自分で作っているよ。」と言っていた。また敷地内の池で魚を釣って「今日の食材にするんだ!」と言っている男性もいて高級感だけでなく、のどかさも感じました。
3日目は、楽しみでもあった上海万博に行きました。あまりにも多くの人でにぎわい、中国館で1日のほとんどを費やしてしまった。マスコミでも報道されているように、「大阪万博」の来場者数を何としてでも追い抜かなくてはならないとのことで、上海市民1世帯につき1枚のチケットがもらえるそうだ。また、万博会場では30人~40人ぐらいの同じ色の帽子をかぶった団体があちらこちらにみられました。どちらから来たか聞いてみると「無錫の村の団体のツアーだよ。村からも金を出してもらったから一銭も払ってないよ!ガッハハ・・・」と言っていた。様々な農村部から国からの援助を受けて沢山の人が来ているようだった。
上海万博の中国館では、『中国の国力によって経済が発展し、生活も豊かになってきたが、これからは「足るを知る心」や「利他の精神」によった価値観を有しなければならない。』というメッセージ性を感じてなりませんでした。環境に配慮し、『動く水墨画』などを通して中国古来の先人の教えに学び、真の豊かさとは何か?と新たな価値観を考えさせられるメッセージを感じました。
4日目
最終日は社区の見学に行きました。社区とは市町村の単位と同じで、この社区の人口は11万人と千葉市で言うところの緑区に近い。その役所に訪問し、社区の役割について説明を受けました。
社区の役割には、役所業務のほかに、就職支援・健康相談や法律相談、精神的ケア、趣味の教室などがありました。その中で一番力を入れているのは、配膳センターの整備と言うことだ。役所の中にはしっかりした社員食堂の様な施設があり、近隣住民や学生などが安い値段で食事ができるため多くが集い、大変に賑わっていた。そこで作られた食事を老夫婦や高齢者へのケータリングサービスも行っている。現在全上海市では220カ所の配膳センターがあるそうだ。
その社区センターにはデイサービスもありました。日本の介護認定では、「自立」もしくは「要支援」レベルの比較的元気な高齢者の生活支援が行われていた。私たちを歓迎してくださり「北国の春」などの日本の歌を披露してくださった。現在230以上のデイサービスがあり、6500人が利用しているそうだ。要介護レベルの高齢者が受けるサービスはまだまだ整っておらず、潜在的に大変に多くの要介護者が地域に埋もれているのではないか?と推察した。しかしながら、日本での「地域包括支援センター」は、この社区センターの様になることがあるべき姿ではないかと実感しました。
4日間にわたり、シルバー産業新聞社の方々をはじめ、コーディネータの王さん・ツアー一考の皆さまには大変にお世話になり、新たな御縁を頂戴し感謝いたします。
また、このツアーにおいて千葉県在宅協の畔上会長の事を知らない方はほとんどなく、改めて畔上会長の全国での活躍ぶりを目の当たりに致しました。
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社外活動